一般社団法人
全国肥料商連合会
会長 山森 章二
暑中御見舞い申し上げます。
初めに、各地の自然災害により被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。
日頃より、会員様と共に活動させて頂き、また関係者の皆様にはご支援、ご指導を賜り、誠に有難うございます。
私どもは、去る7月6日(木)・7日(金)、石川県金沢市の金沢ニューグランドホテルにおいて、「持続的地域農業の創生〜加賀・能登から活力を!〜」を総合テーマに、第57回全国研修会を開催致しました。令和元年香川県高松市で開催して以来、4年振りに開催することができました。石川県知事馳浩様並びに農林水産省北陸農政局長川合規史様にご光臨賜り、森林総合研究所主任研究員の藤井一至先生に「土の5億年に学ぶ持続的な食料生産とは」の演題で基調講演を頂きました。総勢約130名の方々にご参加を頂き、お蔭様で大勢の方々にお運び頂きまして、感謝の念に堪えません。この紙面をお借りして、ご来賓・講師の皆様、ご参加頂いた方々、また設営などに多大なご支援をお願いした石川県部会の中村会長始め会員の皆様に、改めて厚く御礼を申し上げます。
話は変わりますが、例によって以下は私の独り言です。僭越ながら私が最近思いを巡らせていることは、(1)肥料行政が主体的に目指すもの、(2)行政と全農との関係、(3)それら(1)(2)が商系・私企業の活動に与える影響です。(1)は最近の肥料行政の主人公が化成肥料ではなくなっており、主な狙いが食糧生産確保ではなくなっていることですが、これに付いては後日別の処で取り上げ度いと思います。今不気味な足音が聞こえてくるのは(2)です。昨年来の肥料高騰対策、特に生産者宛支援金に付いては、細かい点はさておき、また自民党主導で始めたこととはいえ、農水省様が系統・商系を平等に取り扱い、手続もなるべく簡素化しようとしてくださったご対応にはたいへん感謝しております。また、海外肥料原料備蓄の制度も作ってくださいました。
問題は、本年6月からの秋肥の全農価格決定についてです。巷では、農水省が全農に圧力をかけて(支援金打ち切りを図り度い農水省が希望を表明して?)、実勢20%程度の下げ幅が自然であったところ、30%近くまで下げさせられた、という実しやかな噂が飛び交ったことです。下げ基調ではあった海外輸入原料価格の実勢とメーカー・流通が抱える高値在庫を勘案し、一定の下げ幅に収れんさせるのが競争原理の私企業の対応であり、実勢を超える極端な下げはメーカー・流通の当期決算において多大な損失をもたらすこととなります。これが大企業の場合、肥料担当部長は経営陣に自由競争に反する事象を説明できません。令和4年度春肥の高騰時に、全農は全農には許され私企業には許されない無税の準備金を取り崩して対応し、私企業は一部を値上げ、その他を自社で被る、という対応もした後だけに、苦しい社内対応となります。今や年間利益は1兆円にも上る大手商社の経営陣が、「私企業では受け容れることができない農水省・全農の対応がただでさえ利益が出ない肥料事業の利益を棄損するのであれば、そもそも肥料事業を継続する意味があるのか」という疑問を持つとしても不思議ではありません。
日本の肥料流通は、海外肥料原料の輸入から末端まで、系統・商系が共存しないと成り立たないのが現実で、全農だけでも成り立たず、大手商社やメーカーが止めると途端に肥料業界全体に大激震が走ることは農水省様もお判りになっておられると思いますが、市場原理・自由競争の分野で早く手を打たないと「昔から続けているやり方を続けてきただけなのに、急にこんなことになるなんて」と驚愕の現実を突きつけられる日が、意外に目の前に来ているのではないかと危惧しています。
最後に、猛暑が続く中、皆様には呉々もご自愛くださいますようお願い致しまして、暑中お見舞いのご挨拶とさせて頂きます。引続き当会に対するご指導、ご支援の程何卒宜しくお願い申し上げます。
一般社団法人 全国肥料商連合会
会長 山森 章二