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全国肥料連合会会長 山森 章二

一般社団法人
全国肥料商連合会
会長 山森 章二


会長挨拶

 あけましておめでとうございます。旧年中はたいへんお世話になりまして誠に有難うございました。本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

 例によって以下は私の独り言です。(1)肥料行政が推進する畜ふん堆肥・下水汚泥活用の方向に猛進するか、慎重に様子を見るか、その決断・実行の結果は、全て自己責任になる、ということと、(2)肥料行政の政策は、今後ともある時点で突然変わる可能性があるということについてです。
 現在の農水省の肥料行政を見ていると、相互に矛盾して調整しにくい複数の課題を同時に推進しなければならない状況に置かれた複数の課の担当の方々がたいへんご苦労されている、という印象を受けます。
 大臣官房等が主担当で約3年前からEUにならって始めた『みどりの食料システム戦略』で掲げた「化学肥料を2030年までに20%、2050年までに30%低減、その内20%を畜ふん堆肥等に置き換え、有機農業の「耕地」を全体の25%まで拡大」の主な目的は、「温室効果ガス削減(脱炭素)」ではなく「環境保全」(この内容は未だに不明)となっています。農水省の大臣官房等も引用するように、ガス発生量についての日本の公式数字としては、毎年環境省傘下の機関が国連の「IPCC(気候変動に関する政府間パネル)」のガイドラインに従って算出・発表する数字が使われており、それによると、肥料由来のガス排出量(溶脱・流出+揮発)は、無機質窒素肥料より有機質窒素肥料の方が25%多い、となっています。畜ふん堆肥等に置き換えるとガスが増加し、温暖化防止には逆行することになります。処が、有機肥料や有機農業を推進する課の資料には、独自の考え方で「畜ふん堆肥などに置き換えるとガスは減り地球温暖化防止に効果がある」と書いてあり、それを理由に有機質肥料・有機農業を推奨しています。これは矛盾しています。また、新しく始まったJ(カーボン)クレジット取引では、畜ふんペレット等の有機窒素肥料の生産を無機窒素肥料に置き換えるとクレジットをもらえる(カネになる)という考え方になるようです。この状況では畜ふん堆肥を推進していいのか悪いのかわからなくなりそうです。
 また、もう一つの下水汚泥活用について農水省は、重金属等のコントロールは難しいと考えたのか、令和4年6月の同省の資料の中で「2030年以降の取り組み」としていましたが、その後相当上から指示があったようで、同年8月に急遽推進を急ぐ方針に変更され、僅か1年後の本年10月より「菌体りん酸肥料」なる新しい公定規格もできて、今まで「汚泥肥料」では許されなかった他の肥料との混合が許され、下水汚泥活用を強力に推進するようになった、という経緯があります。因みに、重金属等の安全管理は、メーカー側の負担と責任としています。
 国内未利用資源活用はできればそれに越したことはなく、全肥商連も農水省のマッチング事業に協力していますが、畜ふん堆肥推進の矛盾や下水汚泥肥料の急な方針変更は気になりますし、改定「基本法」の柱の一つとなる「食料安保」と生産性に劣る「畜ふん堆肥」利用との整理やJ−(カーボン)クレジット取引との整合性はどうなるのか、等々の調整課題が続きます。
 高値在庫に苦しむ時期を乗り切って新たな出発に乗り出す時機にあたり、利用できるものは利用して商売に結び付けるにしても、結果はすべて自己責任であるということと、肥料行政の方針変更はいつでもあり得る、という2点を共有頂いて、各自進む方向を決め随時見直すということが重要ではないでしょうか。

 今年一年が皆様とご家族様にとって新たなご隆盛の始まりとなりますことを祈念して新年のご挨拶とさせて頂きます。


一般社団法人 全国肥料商連合会
会長 山森 章二


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